夏休み

 

 
15日から17日までのお盆休みとした。
 
現場では内部、外部の仕上げを進めており、工期の期限も近くなってきているので、どことなく緊張感も漂い始めている。
 
現場を統括する立場としては、工期厳守が目標の一つになるために、休みなく進めたいが、こうも毎日、暑い日が続くと、現場の人たちにはムリも言えない。
休みも仕事の内なので、来週の月曜からの再開を期して、現場を何時もより念入りに清掃した。
 
ただ、左官屋さんは仕事の区切りをつけないと休むことは出来ない。
今日は昨日遅くに中塗りをかけた壁の押えのために、お盆とはいえ現場に来ていただいている。
中塗り土の材料は、この夏場の乾燥具合により、水や糊の調整をしているとのこと。
「数年先にこの壁がどうなっているかを考え材料を用意している。新しい時にきれいなことは当たり前。年数を経て汚くなったり、割れたりするような材料では意味がない」
とまた教えてくれた。
 
 
 
 
 2014.08.15

 

 プラン

 

 
進行中の住宅のプラン。
 
敷地は郊外住宅地の一角で、東南のゆとりのある角地が敷地となっている。
平屋建てのプランニングを希望されているが、所要面積を展開していくと大きくなりすぎるため、一部を2階建てとして計画している。
 
人が住まいをつくる理由の一番目は、地域の風土の中で暮らすための道具として、生活の器が必要だからだと考えている。
 
その形は、気候条件の影響を受け、また、地域の風習の中で築き上げられてきた特色として、急勾配の茅葺きの屋根を持つ農家や正面の通りに格子の窓を向けた町家など、長い時間を生き残ってきた古民家に今も見ることができる。

現代の民家はどういうものになるのだろうかと考えながら建築を作っている。
 
まずは、建つ場所の風土に従っていることは重要である。
福井の気候は夏蒸し暑く、冬は寒くて雪が降る。気候条件が、日々の繰り返しの生活に影響するため、備えが大事になってくる。
冬には雪の日が続くため、家を閉ざして籠もるような生活にどうしてもなる。除雪から朝が始まり。晴れることがまずないので洗濯物の始末に困る。
夏は湿度が高いので日中は蒸し暑く感じるが、朝晩は比較的涼しいので、窓を開けて風通しをよくしたい。
春秋は穏やかで小さな庭で、作物や花木を育てている家庭が多く、自然を豊かに楽しみながら生活に取り込みたい。
 
次に、人とのつながりが大事にされている。
学校や仕事場での関係以上に、近隣との付き合いがある。子供が歩いていると「どこそこの子供」と地域で認識し合っているし、地域内での活動も役割分担がされてコミュニティがつくられている。
親世帯との同居も珍しくなく、単世帯として離れて住まいを構えても、家族の認識範囲は広く、子育てを含めて、あらゆる場面で、血縁間で助け合いながら生活をしている。
 
また、住宅は地域の材料と技術によって昔から造られてきている。それにより安易に維持管理が出来る工法で支えられていると言ってもいい。どんなに財を尽くして家を建てても、放っておけば朽ちてしまい自然には勝てない。長く安心して住まいを維持するための方策は、身の回りの材料と技で造ることが一番である。
 
まだ、いろいろと現代の民家の条件はあると考えるが、このような基本的な条件を基礎として、その上に住まい手ならではの住み方が乗っているものを考えていきたい。
 
 
 
 2014.07.26

 

 色の調整

 

 
門徒会館の改修工事は、内部の造作を進めている。
 
古い材料と新しい材料が混在するために、色を合わせることを考えているが、古い材料に色を合わせるために全体が黒系統の濃い色になってくる。
この改修工事は、これからの使い勝手に向けて内部の構成を変更しているため、新しくなった部屋についてはそのまま新しく見せてもいいが、その部分と古い部分のコントラストを強くするのもあまりよろしくない。
改修工事では、一見して更新した部分がわからない方が良い。
しかし、内部を黒くして、古民家再生のようにしてしまうことも、単調に見えてしまうために、今回は濃いめの茶系統の色付けをしている。
それでも、木目をかなりつぶしてしまうために、木工事のおもしろさ、木のおもしろさを打ち消してしまう懸念がある。
 
写真の杉板は玄関天井に使う格天井の板で、杉の根の部分の木目が美しい。
それを柿渋で色調整をすることにした。薄い赤茶色が時間が経つと強い茶色に変色してくるのだが、木目をつぶすことはない。
時間とともに馴染む仕上がりを目指している。
 
 
 
 2014.07.22

 

 納骨堂の御内仏

 

 
本堂の前にある納骨堂を、本堂内部に移設するための工事が完成をむかえている。
 
納骨堂の多くは、建築技術に凝った小規模な建物が多く、開口部も少ない薄暗い内部になっているが、住職の要望で明るい内部空間になっている。
当初の提案では、厳かな雰囲気をイメージするようなものであったが、住職のお話を伺っているうちに、自然光が内部の隅々にまでとどく明るい納骨堂が良いと考え直した。
死後の世界のことは死んでみてからのお楽しみにするとして、その世界への入口は、薄暗くて重圧感のあるものよりは、あたたかくてまばゆいくらいに明るい方が、その先に希望が持てる。
 

 
この納骨堂の両脇に取ることができる最大の開口部をあけ、ヒバのルーバーを取付けて、太陽光が一日中はいるようにしている。天井も白く塗り上げて内部深くまで光がとどくようにして、ご家族がお参りいただく時にも、あたたかくて明るい場所にしている。
西面の中央部に須弥壇を設け、阿弥陀如来を安置することになっている。
 
 
 2014.06.06