日本では歴史的な建築物の約9割が木造です。住宅で100年(ほぼ3世代)を超える構法もほぼ木造です。
それは、傷んできたら交換する、時代に合うように改造する、長く持続するための方法(構法)が日本の歴史の中で「試行と反省」の繰り返しで醸成されてきたからです。
日本の伝統的構法の利点を活かし、今の時代に合うように建築の再生に取り組んでいます。 

 
再生リフォームの施工実例

 築70年の木造住宅の改築
2階建てを減築して平屋へ

築50年の木造住宅の改築
省エネ化とバリアフリー化

福井の伝統的民家の補助事業
外観の修復と耐震補強

  • 水まわりのリフォーム

  
設備機器の入れ替えや仕上げの新調を目的として水まわりのリフォームを検討するときには、バリアフリーについても併せて考えます。

 
住宅の浴室は事故の発生が多い場所です。
段差を無くすだけではなく、脱衣場を浴室内に取り込み、温度差もなくしています。
 

 
天井、壁、床を断熱材でしっかりと包み、床タイルはサーモタイルで肌触りを優しくしています。
 

 
トイレの個室化は、後々、狭くて不便になることがあります。
思い切って広くすることで、あらゆる場面に対応できるようにしています。
 

 
介護保険の住宅改修の補助を利用して、トイレの段差解消、手すり取り付け、入口引戸に変更しました。
住宅工事のさまざまな補助制度の申請手続きもおこないます。
 

 
寝室入口近くに設置した洗面台。
簡単な手洗いができるように大きな洗面ボウルをつけています。
 

 
台所と居間の2室をLDK1室にして、対面のキッチンを設置しました。
キッチン全面の壁には、抗菌性のある能登ヒバの無垢板を使用しています。
 

 
背面にカウンターと収納棚を設置して、最小限の動線で家事ができるようにしています。
 

 
3世帯住宅用に作ったミニキッチン。
水に強いチーク材の天板を現場で穴あけ加工をして取り付けています。
 

 
東側の窓に面するキッチン。
テーブルは近くにあったモミの丸太を割り作っています。
 

  

  • 耐震診断と耐震補強

 
木構造の法基準が、昭和56年(1981年)と平成12年(2000年)に大きく変更されています。以前の木造住宅の耐震診断を行い、構造補強で安心できる住まいに改善します。

*注意
以下の例は、「一般診断法による耐震診断」を基に、変形の少ない固い木造建築にして、大きな地震などの災害に備える方法です。
筋交いを設置することが難しい伝統木造建築の補強では「限界耐力による耐震診断」で検討することになります。

 
柱の足元を固めるためには基礎が効果的です。
建物全体をジャッキアップして基礎工事を行います。
 

 
土台を敷設してアンカーボルトで基礎と緊結し、地震や台風時の時に柱の足元がバラバラに動かないようにしています。
 

 
既存の基礎に鉄筋が入っていない時には、新たに鉄筋コンクリートの基礎を沿わせて補強します。
 

 
以前の木造建築では、梁桁が細く強度不足の場合が多いため、計算の後、新たに部材を入れ積雪等に備えます。
 

 
2階の床梁が強度不足の時には、既存の梁・根太を適切な寸法の材料に入れ直します。
また、合板などを床の下地に使い、水平面を強くすることで地震に強い建物にします。

 
耐震診断の計算で必要な耐力壁(筋交いなどの壁)の位置と量がわかります。
それを基に正しい位置に必要な耐力壁を設けて補強をしています。
 

  

  • 断熱・省エネ…エコリフォーム

 
断熱材で建物全体を包み、開口部からの直射日光の侵入を防ぐことで、冷暖房費のかからない住宅にします。
 
*注意
エコリフォームには各種補助金があります。(自治体により異なります)

 
天井、壁、床に断熱材を入れて、外部へ逃げていく熱量をコントロールします。
写真は羊毛断熱材。
 

 
グラスウールの場合には、室内側に厚みのある防湿フィルム(防湿層)が必要になります。
また、内部仕上げ材との間に隙間ができないように設置します。
 

 
床の断熱材は、後で床下に落ち込まないように受け材を取り付けて断熱材を入れます。
 

 
夏季の直射光を抑えて室内温度が上がらないようにします。
北側以外の窓を複層Low-Eガラスにして遮熱をします。
 

 
土壁の室外側に高性能断熱材を併設することで、断熱、蓄熱性能の高い、結露のしない住宅が可能になります。
夏涼しくて冬暖かく湿度変化の少ない住空間の可能性が土壁にはあります。
 

 
蓄熱性と調湿性の高い土壁、内外部の温度と直射光の緩衝帯になる縁側、夏の強い日差しを和らげる深い軒、内部空間を緩やかに仕切る障子など、日本の建築には省エネに役立つ知恵があります